「大人が伝える職業観とは?」〜高校1年生(43K)職業観セミナー

職業観セミナーは、例年高校1年生で行われている学校行事です。今回、ホームページ委員2名(43K父母)が参観し、取材させていただきました。また、講師をされた3名の方から、生徒の様子や感想を寄稿していただきましたのでご紹介します。

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「大人が伝える職業観とは?」〜高校1年生(43K)職業観セミナーホームページ委員会 阿部・熊谷

2021年11月13日、高校1年生を対象にした「職業観セミナー」が開催されました。例年は9月上旬に行われますが、今年度はCOVID-19の影響から2か月延期しての開催となりました。
職業観セミナーは、17回生から(当時、進路に悩んでいる子どもに何かできないかという父母からの提案を受けて)始まった行事です。

今回は27講座(法務、公務員、外交、保安、運輸、通信、製造、建築、医療、教育、企画、芸術、スポーツ、文理研究等)を27名の講師が担当し、生徒は希望する2講座を受講します。セミナー開始前には、先生と講師の方々が機材や通信の状態を入念に確認されていました。
また、参加者はマスクを着用し、開会式場の体育館では生徒たちが密にならないように間隔をあけて座るなど、COVID-19感染予防に対する配慮も感じられました。
入場の際、講師の方々は(オンラインの講師の方もスクリーンに映し出されて)生徒に拍手で出迎えられ、担当する分野と自己紹介を行いました。先生からは「働くってなんだろう」と考えるひとつのきっかけとして今日が有意義な日になるように、社会に出たときに役立つ重要な機会としてとらえてほしいというお言葉をいただきました。
開会式後、案内係の生徒と会場に移動し、いよいよセミナーの開始です。

講師の皆さんは、ご自身のキャリアにつながる「きっかけ」や「経験」、そしてその職業の「おいしいところ(やりがい)」などを盛り込みながら、各々の職業の現場について紹介されていました。生徒たちは講師の方々の話に耳を傾け、配布資料やスクリーンに映し出された画面を見ながらメモを取るなど、集中している様子が窺えました。質疑応答では、「人脈をつくるにはどうすればいいのか」、「コロナ禍を乗り越えるためにしたことは何でしょうか?」などから、「収入(給与)はどのくらいですか?」というこちらがドキッとするものまで、いろいろな質問がありました。

すべての会場をまわるために、取材者の私たちが参観できる時間はひとつの講座に3分間ほどでしたが、どの講義も「見やすく」「わかりやすい」ように、講師の皆さんの工夫が感じられました。
また、なかには実際の現場で働いている方とリアルタイムにオンラインで中継し、違う立場の方の生の声をきける機会が得られたものもありました。
講師の方々のお話は、生徒のみならず取材している私たちにとっても、ハッと気づかされることがたくさんあり、視点が広がったように感じます。

大役を果たした講師の皆さんからのご感想には、生徒へ「夢や目標を探して、好きなことを突きつめてほしい」、「いろいろな視点をもってがんばってください」というメッセージや、「自分の仕事を見つめ直すよい機会となった」「真剣に将来を考えている様子がわかった」など、貴重な機会を持てたことへの感謝の言葉が寄せられました。

職業観セミナーの感想を子どもにも聞いてみたところ、「最初は先入観を持っていたが、良い意味で裏切られた。どんどん話に引き込まれ、さらに興味が湧いた。」「自分が興味のあるものは、そのなかでも○○ではなく、△△なのだと感じた。」と話してくれて、今回の職業観セミナーは自身の方向性を定めるひとつのきっかけになったように感じました。

講師の皆さま、先生方、そしてご協力いただいた関係者の皆さまに深く御礼申し上げます。

開会式の様子

セミナーの様子

セミナーの様子

*****ここからは、講師をされた方からの寄稿文をご紹介いたします*****

たくさんの気づきが生まれた職業観セミナー川村貴子

セミナーの様子

私はキャリアコンサルタントとして登壇しました。
キャリアコンサルタントという職業は、日本では2002年に民間資格ができ2016年に国家資格化された新しい職業です。なので、43Kの生徒の皆さんが関心をもってくれるかとても心配でした。
しかし、職業観セミナー当日は20名近い生徒が聴きに来てくれました。そして、生徒の皆さんが自分の将来に対して真剣に考えていることが『聴く姿勢』からひしひしと伝わってきました。きく=聴く(耳だけでなく心を込めてきくこと)力がある生徒の方ばかりで、キャリアコンサルタントのたまごとしてのセンスを感じました。また、たくさん質問をしてくれたり、持参した心理学の本を見てくれたりと、その熱心さに私が感動するほどでした。

セミナーで生徒の皆さんにはお話ししましたが、私の人生は波瀾万丈でとても自慢できるようなことはありません。でも、その経験がキャリアコンサルタントとして相談者に寄り添う上で今はとても活かされていると実感しています。

職業観セミナーを通して、自分自身の職業観と改めて向き合うことができました。
このような貴重な機会をいただき感謝の気持ちでいっぱいです!ありがとうございました。
43Kの皆さん、“Life is Contents!”

43K職業観セミナー感想永田礼子

セミナーの様子

進路や将来を真剣に考え始める高校1年生のこの時期に、身近な大人なたちによる職業を通じて経験してきた人生観を伝える「職業観セミナー」の開催に共感し、講師を申し込むことに決めました。今は大学のHPや学校や塾の紹介、興味があれば自分から進路や仕事に関する情報を簡単に得ることができます。しかし、両親以外の働く大人の本音を聞くことはなかなかできないと思います。当日、開始前に先生からこの「職業観セミナー」は父母からの協力申し出から始まり、ブラッシュアップされて現在の形になったと伺い、茗溪教育の一端であると感じました。

当日最初に、体育館において生徒全体の前で講師全員の紹介があり、お互いの距離が近くなった印象です。分科会ごとに生徒の送迎があり、この送迎中の短時間に、生徒自身の興味や聞きたいことを話してくれたので、セミナーで取り上げたり、セミナー後に感想を聞くことができたりしました。セミナーでは、私自身の経歴、印象に残った仕事、資格を生かす仕事の魅力などをお話しました。非常に熱心に聞いてくれて質問がたくさん出ました。勤務時間や給与など、一瞬戸惑うようなものから、具体的な仕事内容についての鋭い質問もあり驚きました。資格取得に興味がある生徒もいて、将来への展望を具体化しようとする生徒や得意な科目から進路の選択を模索中で、まだ漠然とした将来に迷っている生徒もいて、色々でした。しかし、共通して皆さんの希望や悩みが伝わってきて、真剣に将来を考えている様子がとてもよく分かりました。私からは、資格や専門性など、自分の武器を持つことで、必要とされるニーズに生かすことも出来ることを伝えさせていただきました。

セミナーは当初9月の予定でしたがCOVID-19の影響で11月に延期となり、先生方は調整等のご苦労があったかと思います。先生方、講師の皆さんの協力で、生徒の将来構想のお手伝いをしていただき大変感謝いたします。また、今後も本セミナーが続くことを期待いたします。

職業観セミナーへの感想と感謝堀内(永山)康江

セミナーの様子

10年前、長女が高校1年の時に夫が講師をさせて頂いてから、職業観セミナーで話す事は私の憧れでした。私は文学部卒ですが、3度目の失業の時にハローワークに行ったことがきっかけで法律を勉強して資格を取り、専業主婦を経て司法書士になった者です。こんな紆余曲折ある人生も何かの参考になればと思ったのです。

けれども自分の仕事を他人に説明するのは難しく、準備も進まない。恥を忍んで、本番6日前の日曜日、家族全員(夫と、高校生、大学生、社会人の子供)にリハーサルを見てもらいました。各人がそれぞれの視点から手厳しいコメントを出してくれたお陰で、伝えたい内容が鮮明になり、5日間かけてスライドを全面修正できました。

当日は、生徒さんたちが頷きながら耳を傾けてくださる態度に励まされました。講義後、脱力と安堵が混じった気持ちで講師控え室に戻る途中、案内の生徒さんが「一つ質問していいですか」と内容についての突っ込んだ質問をしてくれ、私の答えに対し、「そんなに色々な場合を考えながら仕事をしているのですね」と言ってくださったことが印象的でした。自分の無意識の思考を引き出して頂いた思いです。

今でも時おり、「仕事でやりがいを感じるのはどんな時ですか」と、生徒さんたちの質問の声が蘇って、自分の仕事はこういう意味があったのか、自分はこんなことを考えていたのか、と見つめ直したりしています。

職業観セミナーは、少なくとも私の人生観や職業観を変えてくれたように思います。家族に仕事の内容を知ってもらえたのも稀有な機会でした。このような場を与えてくださった茗溪学園と先生方、生徒の皆様と、意見をくださった仕事関係の方たち、そして家族に感謝します。