寮父母会「全体懇親会」取材記

2017年10月22日、昼12時から第2食堂で、お弁当を食べながらの寮生父母全体懇親会が行われました。その様子をホームページ委員でもあり、元寮生である田中がお邪魔して覗かせていただきました。

寮父母会は、18名の父母と学寮長からなる運営委員会を隔月で開き、90名が参加した5月の総会、GW明けの自宅から帰寮の機会に餅つき交流会、今回の全体懇親会などを通して学寮の活動援助を行っています。

この日は、非常に強い勢力の台風21号上陸が目前に迫る大雨で参加予定110名でしたが、97名の父母が遠方から参加されました。なかなか普段顔を合わせることが難しい寮生の父母が集まっていることもあり、茗溪の寮にかける思い、そこにお子さんを預けていらっしゃる方々の熱意をひしひしと感じました。

午前中は11時から、生徒が住んでいる寮内フロアの見学会が行われました。今回数年ぶりに行われたそうです。学習机やベッドの様子、風呂場などを見学でき、日ごろどのような生活を送っているのか垣間見ることができました。寮生たちは、自分たちのオリジナリティあふれる生活空間を自分や友達の父母に見られることに多少とまどいがあったようです。今後引き続き見学会が行うかどうか、寮生を第一に考える学寮としては、寮生の意見を汲みつつ検討していくことになるそうです。

寮生が父母会に出席している親に会いに来るのも中学生まで?

 

12時からの懇親会は、藤井会長からの開会の挨拶でスタートしました。続いてハウスマスターを代表して田代校長先生から挨拶がありました。ハウスマスターとは、家族ともども寮に住んで寮生たちとともに生活をされている先生方のことです。

茗溪の寮は、4階建ての3棟(東西北棟)、5階建ての1棟(南棟)からなります。建学当初は在校生の半数以上が寮生であったため、4人1部屋ですべての棟を使用していましたが、今は冷暖房完備の南北棟をメインに3人部屋で使用しています。ここ数年寮生が増えてきたため東西棟も冷房完備となり、内装も順次改装しています。

父母会の指摘もあり、2年ほど前から食事の改善に取り組み、寮生の評判も概ね上々です。9月からハウスマスターのサポートとして筑波大学大学院体育専門修了、柔道でジュニア世界大会のチャンピオンの経験を持つ山本先生も関わっていますが、ナショナルトレーニングセンターよりもおいしいそうです。

今後はフロアを3つのハウスに分けて、若手スタッフを配置(高校生東西棟5人、中学男子北棟3人、中学女子南棟2~3人)プラスハウスマスターという体制で、学習支援や長期休暇時の滞在も充実させたいと考えているとのことです。

体育の先生でもある高橋健学寮長は、身内にご不幸があり不在であったため、藤井会長が手紙を代読されました。その内容は「自分も茗溪の1回生で寮にいたが、今思えばそのことが自分を育ててくれたと感じている。茗溪の良さを継続するよう邁進しているのは、茗溪に育ててもらったことへの感謝を感じているからで、多くの卒業生が保護者となっていることも同じように感謝の表れだと思う。寮生の、特に男子卒業生の進路を気にされることは理解できる。過去3年間の寮生卒業生のうち23%が北海道、東北、大阪、筑波等の国公立、66%が慶応、早稲田、上智、中央大学等の私立に進学している。寮は自分たちで成長しあう場で、必ずやる気スイッチが入り、飛躍するので子どもを信じてあげてほしい」といったものでした。

その後、今春で卒業し、年内で退寮する37K父母の方13人のスピーチがありました。中学あるいは高校から入寮している寮生たちがみな寮生活を通して自立し、寮が自分で自分のことを決めることを学ぶ場になっていることを実感させてくれました。

 

以下一部ご紹介です。

  • 自分で大学受験も決めるまでに成長を遂げた。親から離れたことが成長にプラスだった。いろいろな価値観を学び、寛容な心が育った。
  • 傷ついたり、問題があったときに寮生仲間で支えあっている。卒業後も助けたり励ましたりするような仲間になるだろうと感じる。
  • 自分で起床できなかったが、寮生活を通じて積極的になり、進路に関しても寮の友人の励ましで乗り越えられた。茗溪愛が強い卒業生になると思う。
  • 今日、寮生6年女子全員で一緒に選挙に行った。楽しんで人生初めての選挙を行えた。
  • 携帯やテレビ、漫画がなく大丈夫?と思っていた。先輩から理不尽なことを頼まれることもあったようだが先輩への対応を通じて上手に社会を生き抜く術を学ぶことができた。
  • 茗溪の寮生だった父の「楽しかった」という話に影響を受け興味を持つ。先生から「子はすぐに親離れするから、親が子離れする必要がある」と言われたがその通り。
  • 寮生活で何か問題を起こすと、退寮や部活動停止も余儀なくさせる。これは本人を成長させる良い機会。
  • 留学先でホームシックにもならず、寮生活のおかげで楽しんで留学生活を送れた。
  • 入学前に短期で寮生活ができるか試すことができる。入学時は60キロだった体重が100キロになり、寮の食事はおいしくないと言うが、そんなことはないと思う。先生方や仲間に精神面も鍛えてもらったと感謝している。

この後、午後12時からは各フロアに分かれてハウスマスターの先生から日ごろの様子の紹介、父母からは生活全体に関わるさまざまな質問がありました。

いわゆる通学して教室で授業を受けたり友人と過ごす学校生活とはまた別に、24時間常日頃、上下分け隔てなく友人、先生方と一緒にいて洗濯、入浴、食事を共にする生活という状況は、できたての頃の元寮生として今から思うとかなり貴重な体験だったと思います。仲間と共に切磋琢磨したことは、高橋学寮長が言われるとおり、自分たちで成長する場として少なからず影響していると思います。きっと現寮生も同じことでしょう。

子どもを手放してそのような環境に置く親の側もさまざまに考え、子離れに耐えながら送り出されていることを今回強く感じました。学寮が続く限り、これからも寮父母会が縁の下となり、その熱意で盛り立ててくれる一端を今回垣間見ることができました。