茗溪学園筑波キャンプ初の父母ボランティアによる企画、運営で救助訓練がキャンプ二日目に実施されました。この企画は、一年前の里美キャンプ父母ボランティア慰労会の席で提案されたもので、すぐさま『筑キャン実行委員会』が発足されました。それから一年、学校側の窓口を窪山学年主任に依頼し、実行委員長・副委員長を中心に、何度となく実行委員会が開催され、粘り強く交渉を重ねました。その間、26回生の先生方も常総広域消防本部守谷消防署において救助訓練を体験され、「これから生徒達が成長する過程においてもぜひ経験させたい」という力強い意見を先生方から引き出し、7月に『実施決定の通知』をいただきました。
筑波キャンプ初日、『中央青年の家運動場』において訓練塔の設営が始まりました。実行委員長を中心に、足場用の資材を慣れない手つきで組み上げていく父母のボランティア。「ボルト一本締め忘れたら訓練塔が倒れてしまうかもしれない」ということもあり、どの顔も真剣そのものです。どのような訓練塔が出来上がるのか皆目見当もつかず、「ほんとうに完成するのだろうか?」と思い始めたころ、徐々に姿をあらわし高さ6mの訓練塔が完成した時には、本当に感無量でした。誰もが「やっとここまできた!明日は、本番だ!」と実感したと同時に「安全に」という責任の重大さを再認識した瞬間でした。
そしてキャンプ二日目、天高く抜けるような秋晴れのもと『筑波キャンプ初の救助訓練』が実施されました。副委員長を中心に、阿見町消防本部の救助隊員二名がボランティアとして参加、指導にあたりました。初めて救助訓練を体験する生徒達の顔は、皆期待と不安からか少し緊張気味でした。訓練内容は、『ロープ結索』と『降下訓練』です。はじめに救助隊員によるデモンストレーションが行われ、生徒・先生・父母の間からは、歓声とどよめきが起きました。
次に『ロープ結索』です。自分の体を支えるのは、このロープ一本であることを認識した生徒達は、真剣そのものでロープ結索に取り組んでいました。いよいよ生徒達の『降下訓練』が始まります。訓練塔を下から見上げている時は、生徒達から威勢のいい声を聞くことができましたが、訓練塔の階段を一段のぼるごとに口数が少なくなり、降下場所に着くころには、周りの景色を見る余裕も無くなっているようでした。そして懸垂ロープに体にあずけ、何度となくためらいながらも一歩踏み出した瞬間、視界には一面青空が広がったことでしょう。降下時間は、ほんの2~3秒です。その間何も考える余裕は無かったと思いますが、地上に到着した時の満足そうな笑顔は一生忘れることができません。そして子供達に、父母の熱い想いが伝わった瞬間でした。
日が沈みかけたころ、訓練塔の解体が始まりました。誰も無口でした。『祭りの後の寂しさ』をかみしめながら、長いようで短かった一年間のことを思い訓練塔を解体しました。・・・
最後に、短時間の救助訓練であわただしさもありましたが、生徒・先生・父母が一丸となり『ひとつのことをやりとげた』という充実感は、それぞれの心にずっと残ることでしょう。
筑波キャンプ『救助訓練を実施して』
26回生父母 坂入勝久
- 職業観セミナー講師体験記
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