西田 光男(父母会会長)
4年前の春、父母会会長として地区父母会に参加した時に、ある父母から「父母会長のみ臨海訓練に参加する権利がある」と、聞かされた。体育会系工芸家の私としては「ああ・・・そうですか?」では済まされない。
その翌々日からプール通いが始まったが、目が潤むほどの感動が2カ月後にやって来るとは、その時は考えもしなかった。
臨海訓練のすばらしさは、泳力の弱い生徒を全員でサポートし、2時間、4kmを泳がしてしまうところだ。プールでは100mがやっとだった生徒が、長い道のりを泳ぎ切ってしまうのだから、波打ち際に立った時に喜びと達成感で涙が出るのは当然だし、泳げる生徒であれ、これほどの距離を今後泳ぐことは考えられない。砂浜で抱き合って泣いている生徒を見ると、涙もろいオジサンは海水を顔にかけ、乾くまで陸に上がれないのである。
今年は茨城高校総体の影響で、一期3クラスの臨海訓練になったために、午前と午後、泳力別に分けられた。完泳した生徒たちを残った生徒たちが迎えるという美しい涙場面もあったが、来年以降は生徒たちがサポートしあう本来の形に戻ることを期待する。
生徒の状態を把握するため、できる限り縦横の列を整わせる。いつもはレスキューチューブを肩に掛け、伴泳者のおまけとして泳いでいるが、一度だけ最後尾で生徒と同じように泳いだことがあった。はっきり言って、このほうが辛い。時々冷たい水域がありXXをしたくなるのだが、私は泳ぎながらできない。伴泳ならレスキューチューブに掴まりこっそりできるが・・・。
毎日行われるスタッフミィーティングでは、海上の風や潮の流れはもちろんのこと、個々の生徒のコンディションが検討されている。事故もなく20年以上続くのは、この綿密なミーティングがあるからだろうか。