茗溪学園32回生学年父母会パネルディスカッション

2011年2月19日(土)13:45より、第一AVE室にて、32回生学年父母会主催によるパネルディスカッションを開催しました。今回は大学卒業と就職を控えた4名の茗溪卒業生を迎え、笑いありユーモアありで楽しいお話を交えながらの経験談と、進路指導部長の杉山明信先生のコメントを頂き、親として考えさせられる貴重なお話を伺うことが出来ました。
当日の様子をそのままお届けします。

本音で語る
今からでも遅くない!~夢をめざす親子への提言

-学年委員長あいさつ                                   32回生父母会学年委員長 北村 篤子
今4年生は、進路選択や個人課題研究など様々な選択の時期を迎えています。子供達は、しっかりと自分で考え、悩み、そして乗り越えて行くことと思いますが、「どんなふうに悩んでいるのか、又 親としてどの様なアドバイスができるのか」 などを知ることができれば、より良いバックアップが出来るのではないでしょうか。そこで、4年生の学年父母会の恒例となっておりますパネルディスカッションを今年も企画致しました。
本日のパネルディスカッションは、「本音で語る 今からでも遅くない。夢をめざす親子への提言」というテーマで、杉山先生からご紹介いただいた4人の卒業生からお話しを伺います。4人の卒業生にはお忙しい中、パネリストを快くお引き受けいただきました。心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

◆パネリスト

・織原雄佑さん  26回生
・有馬  楓さん  26回生
・宮本  瞳さん  26回生
・早川和騎さん  25回生
◆コメンテーター
・茗溪学園進路指導部長 杉山明信先生
◆コーディネート
・32回生学年父母会
◆司会
・32回生父母   池永直子

-自己紹介(大学を選んだ理由)
織原さん:
桜美林大学 健康福祉学部4年
ラグビー部出身
個人課題研究テーマ「年齢にあった足を速くするトレーニング法」
医療関係商社就職内定
勉強が嫌で中学から高校へ進学するときに学校を辞めなくてはと思うくらい成績が悪かったが、ラグビーを続けたいという一心で勉強を頑張った。
個人課題研究は、自分は足が少し早かったので「年齢にあった足を速くするトレーニング法」という個人課題研究テーマを選んだが、本を少し読む程度であまりまじめにやっていなかった。
2年生の終わりごろから大学進路を考え始め、将来は教員をやりたいという気持ちと、ラグビーもやりたいということで、どちらもできる大学を探した。
3年生の時にはラグビー全国大会に出場したので、受験勉強はできず推薦で行ける大学を選んだ。

 

有馬さん:
女子美術大学 デザイン専攻4年
美術部出身
個人課題研究テーマ「ルネサンス期と近代の絵画を模写する」
教育関係就職内定
公立の中学時代から将来美術の道に進もうと思い、茗溪は美術関係の大学進学率が良かったので高校から茗溪に推薦で入った。
大学を選んだ理由は、中学時代から美術の道に進みたかったので美術大学を選んだ。
最初油絵を描く学科に入ったが、大学2年の時に、自己表現する絵画よりは職に結び付けたいと思ったので、ポスターやパッケージを行うデザイン科に転科した。
今振り返れば、高校時代は絵を描くことばかり考えていたので、もっといろいろなことを考えても良かった。020_0001-01

 

宮本さん:
成蹊大学 文学部4年
バレーボール部出身
個人課題研究テーマ「『伊豆の踊り子』について」
金融関係就職内定
部活はバレー部に所属していたが、その頃のチームはそんなに強くなかったチームだった。 県大会まで行けるレベルまで部活に力を入れていたのであまり勉強はしていなかった。
数学はあまり好きでなく国語が好きだったので文学部を志望したが、文学部はあまり就職率がよくないと思い資格が取れる大学、設備や環境が整っている大学を選んだ。
また、個人課題研究をやっていたときに、成蹊大学で文学研究会に行ったことがきっかけで、最終的に成蹊大学に決めた。

 

早川さん:
明治大学 政治経済学部4年
バスケットボール部出身
個人課題研究テーマは、「漫才論~漫才の歴史から漫才ライブ公演まで~」
音楽関係就職内定
漫才を始めたのは中学3年からで、4年間文化祭で漫才を行っていた。
最初は日大の芸術学部を目指していたが落ちて、玉川大学の芸術学部に受かったので3ヶ月ぐらい通っていたが、肌に合わなくて中退した。夏から浪人生活を行い、1年後に明治大学に入学した。
学校を選択する時に一度大学に足を運んで、そこで4年間過ごせるか見てもらえればミスマッチは防げるのではないかと思う。また、親に頼みこんで浪人して出直す方法もあるのではないかと思う。
浪人中はいろいろ大学をみて回ったが、都内の大学ではサークル活動が充実していて、自分としては学部を選んだと言うよりは校風で選んだ感じだった。

 

pd213_33_0012-01杉山先生:
自分の目で希望する大学を見ることはとても大事なこと。
3年生で大学訪問のプログラムがあるが、大学のオープンキャンパスに参加する余裕は3年生ではない。2年生のうちに是非行っておくことを勧める。

 

-親に言われて嬉しかったこと、辛かったこと、言ってもらいたかったこと、言って欲しくなかったこと
織原さん:
父親からは何も言われなかった。母親からは勉強・勉強と言われていたが、自分はラグビーが好きでラグビーをさせてくれたことに感謝したい。
昔から自分自身の教育にお金をかけてきているのを知っていたので、なるべくだったらお金のことは言われたくない。
有馬さん:
親からの干渉がなかったことがよかった。
自分で将来を決めたいという意識があったので、親からは何も言われなかったのがよかった。
宮本さん:
親からの干渉もなにもない。生まれてから今まで勉強しなさいと言われたことがない。
一人の大人として見てくれていたのが嬉しかった。
パニックになるほど勉強に悩んでいたら、親から「こんなことができなくても死ぬわけでもないのだから」と言われて、「あっそうか、死ぬわけないんだ」と思い直したことがある。だから、気が抜けるほどどうでもいいようなことを言ってもらうとよい。
早川さん:
中退浪人を含め自由にやらせてもらって親に感謝している。
お金のことに関しては言って欲しくなかった。

-個人課題研究のモチベーション維持のための親の対応、親にして欲しかったこと
織原さん:
個人課題研究の途中経過を誰かに見せることによって、そこまでに作らなければならないプレッシャーがあるので、途中経過を誰かに見せることが、モチベーション維持につながると思う。
有馬さん:
絵を描くことが個人課題研究だったので、描いていると飽きてくるため気分転換が必要。
親にして欲しかったことはない。
宮本さん:
ゼミ方式で途中経過を発表しあうことで、そこまでに終わらせないといけないし、みんなに迷惑をかけられないので、モチベーションが保てる。
早川さん:
やりたいことをやらせてもらうことで、モチベーションが維持できる。
子供がやりたいことを優しく見守ってあげることが大事だと思う。

杉山先生:
もし自分の子の個人課題研究の経過を知りたければ、経過を本人に聞くより指導の教師に状況を聞いてみた方がよい。
また、書いてあるものを直接見るよりは、「面白いところはある?」などと話を聞いてみる方がよい。何もしていなければ話もできないだろうし。

-クラブ活動と受験勉強との両立について
織原さん:
ラグビーの全国大会が終わって1週間くらいでセンター試験があるが、私の場合は、推薦で大学に入ったので、部活は受験勉強に影響はしなかった。
有馬さん:
英語をもう少し勉強しなければならなかったが、絵画教室から帰ってくるとくたびれてそこから勉強する余裕はなかった。そこで両立して頑張れた人はいい大学に入れるのではないかと思った。
宮本さん:
茗溪は勉強と部活と行事を2つ3つと同時にやらないといけないので、自然に両立していると思う。全力で取り組めば部活動と受験勉強は両立できると思う。
早川さん:
自分の場合、6月の最後で部活を引退した。頑張って部活に励んできた学生は、受験勉強にも頑張れると思う。
杉山先生:
部活を引退してからの学力の伸びはびっくりするほど茗溪生にはある。
卒業式の時にアンケートを取るが、いつ頃から受験勉強を始めるのかという質問で、高2の終わりから受験勉強を始めるという回答が多かった。高3で部活を引退してからの受験準備ではちょっと遅い。
75%の人がもう少し早く受験勉強を始めておけばよかったという調査結果がある。
茗溪生の特徴は、勉強もやるし、部活の参加率も高い、数多い行事もやるといった訓練を受けているので、部活と受験勉強は両立していけるはず。

-高校1年生に戻れるなら、学習面、個人研究課題、学園生活、部活でどのようなことをしたいか
織原さん:
ラグビーの推薦で大学に入ったが、ラグビーはそれほど強くないのでラグビー以外の他の道を考えている。
勉強していなかったので、もうちょっと勉強していれば、今と変わっていると思う。
有馬さん:
英語をもう少し勉強していればよかった。美術でも絵を書くために海外をまわることがあるので、英語がもう少しできるようになりたかった。
宮本さん:
特にやりたいことはない。
茗溪は、行事が多いのでとにかく忙しい。学校の行事や部活動に全力を出し切ったという感じで過ごしてきた。茗溪で過ごした忙しい日は、もう2度と過ごしたくないと思うくらいに全力でやると悔いはないと思う。
早川さん:
後悔はしていない。
あえて言えば、積極的に行事に参加したかった。

(一般質問)
-受験の際、親からやって欲しかったこと、やって欲しくなかったこと
・受験制度を理解していないのに、あたかも知っているような振りして、指図して欲しくなかった。
・親までも受験に一生懸命にならないで欲しい。
・受験に関係なく家族で普通に過ごすことで受験に対するプレッシャーが取り除けた。
・泊まりで受験した時、親は泊まりはしなかったけど一緒に大学まで付き合ってくれたことが嬉しかった。

-受験勉強の仕方でアドバイスできること
・夏期講習、冬季講習で美大の大手予備校に行き、いろいろな人と自分との美術的センスを比較することができた。
・塾に行かないと受験に落ちるといった妄想に駆られ、高3に夏期講習に行ったが、塾の講習は大したことはなくて、時間やお金を無駄にしてしまった。
・高2から高3に入る時に春季講習を試してもらい、塾の講習はこんなもんかと体験し、大切な高3の夏を乗り切る。
・毎年合格体験記を配布しているが、合格体験記の内容はすばらしいので、親子で読んで欲しい。

-モチベーションが下がった時の対応方法について
・到達度試験で2つの教科に落ちてしまったので、部活に参加できない状況になった。しかし、部活に出たいという一心で、補習の勉強を乗り越えられた。
・テスト期間中は部活動が活動停止になるので、部活のメンバーとグループ学習をやることが多かった。そこで、他のグループとテスト結果を競争し合ったりした。グループ学習は効果的だったと思う。

-ここに集まった32回生父母に対して一言
・1つ好きなことがあれば後々役に立ったことから、好きなことをのびのびさせて欲しい。
・何が成功するきっかけになるかわからないでの、好きなことを潰さないで応援して欲しい。
・子供がどんなに大変な時でも、特別扱いをしないで、普通の時間の流れを作って見守るぐらいでいて欲しい。
・今は辛い境遇に曝されている生徒でも、卒業後は茗溪時代の思い出となるので、暖かく見守って欲しい。

-最後に杉山先生から一言
茗溪学園は、卒業生に協力してもらうことがいくつかあるが、すべてボランティアで協力してもらっている。
学校は、人が財産になる。生徒もご父母も教師も財産だが、茗溪を巣立っていった卒業生はもっと良い財産だ。
今日来てくれた卒業生の皆さん、付き合ってくれてどうもありがとう。

-父母の感想
・本当の「本音トーク」がよかったです。
・茗溪の授業をしっかり受けていれば、塾通いは不要だと分かりました。
・聴衆した父兄の人数が多く、関心の高さを感じました。
・卒業生の皆さんの話しを聞いて、この学校で学ぶ限り、道はどこかにあって、子供なりに見つけ出すのだろうと、自分の子供のことを思うと淡い希望を抱く事ができました。卒業生の皆さんも多忙のなか来て頂き、感謝、感謝です。
・頑張り屋で、照れ屋で、ユニークな学生さんばかり、みんな頑張っているんだなぁ、と感心しきりでした。
・今回は文系の学生さんばかりでしたが、何かを志す気持ちは文系も理系もないのかもしれないですね。
・卒業生に声をかける進路指導の杉山先生の労を思うとなかなか大変だと思います。ありがとうございました。