新型コロナウイルスに翻弄された2020年春。茗溪学園では3月から続く休校が、春休みが終わっても続いていました。当然、入学式も延期。在校生も不安だったと思いますが、特に新入生のみなさんはさらに不安な気持ちだったのではないでしょうか。
今回は、中学一年生の父母である鈴木美樹さんに「入学式を迎えるまで」の日々についてと「コロナ禍での入学式」について、お聞きしました。
入学式が延期になったときの気持ち
春休みが終わった時点では、コロナウイルスについて分からないことが多すぎて、怖い気持ちが大きかったので、学校から、休校及び入学式の延期、と連絡が来たときには安心しました。また、まわりの学校では入学式を簡易的にやった、という話を聞き「簡単にやるなら、延期してちゃんとやってほしい」とも思っていたので、延期することになるが入学式はきちんとやりたい、という学校側の気持ちがうれしかったです。息子も多少は残念がっていましたが、そんなにショックではなさそうでした。
一度も登校せずにオンライン授業が開始
4月中旬からオンライン授業が始まりました。息子はパソコンを使ったことがなかったので、パソコンを操作して授業に参加するのがとても楽しそうでした。小学生のときはスマートフォンも持っていなかったのですが、スマホやパソコンを駆使して授業を受ける姿をみて、子供は順応力が高いな、と思いました。授業は画像が悪いときもあったようですが、内容は分かりやすいと息子は言っていました。体育の授業もオンラインであり、画面の中の先生たちがすごく楽しそうに笑っていて、それにつられるように息子も全力で体育の授業を受けていたみたいで「筋肉痛になった」と言っていました。そんな楽しい時間もあったので、オンライン授業でのストレスはなかったと思います。小学校の時とは友達も先生も違うし、教室ではなくオンラインという環境だったのに、子供の対応力のすごさを改めて感じました。
GW明けも休校は続いた
GWが明けるころには学校に行けると思っていましたが、まわりの公立の学校と同じように茗溪も休校延長が決まりました。そして5月下旬。まわりの公立の学校で分散登校が始まると、息子は1人だけ取り残されてしまった感じがしたようで、「新しい友達と早く会いたい」と言うようになりました。するとちょうどその頃、学校側が配慮してくれて、生徒同士がネット上でチャットすることを許可してくれました。それまではトラブルがあるかもしれないから、生徒同士のチャット機能は禁止されていましたが、生徒たちの不安な気持ちを分かってくれたようで、チャットが解禁になったのです。「〇×ゲームをやる人」「アニメ鬼滅の刃が好きな人」など、テーマ別にグループが作られ、そこで友達とやりとりが始まりました。息子の初めてできた茗溪の友達はネットで知り合ったという形になりました。子供のすごいところは、会ったことがない友達と、げらげら笑いながらチャットをしたり、ゲームができるところ。ここでも子供の順応力の高さを思い知りました。でもそのおかげで、あの息詰まるような毎日を乗り切れたのではないかと思っています。そして、学校が始まったとき、すでに何人か友達ができていて、初めて登校したのに「あのときの〇〇くんだね」と話せたのが楽しかったと言っていました。
待望の入学式
そして6月20日。待ちに待った入学式が行われました。茗溪学園の創設以来、初めての夏服での入学式。参加できるのは、生徒1人につき保護者は2人まで。座席の間隔はかなり空いていて、窓は全開、マスク着用という入学式でした。先生が前日にメールをくれて「生徒はマスクを外して入場しますので、その時がシャッターチャンスです」と教えてくれました。一生に一度の入学式を学校も大切に思っていてくれることが、本当にうれしかったです。そしてその生徒入場のとき、かなり長い時間がかかったのですが、保護者の方々の大きな拍手がずっと鳴りやまず、みんな同じ気持ちでこの入学式を待ち望んでいたのだなと思うと、涙がこみあげてきました。感動的な入場でした。そして、室内楽部の演奏を聴き、先輩の歌った校歌の合唱の映像を見て、校長先生、父母会長のお話を聞いて、式は終わりました。
4月末に配信された映像で、校長先生が「入学式は絶対にやりたい」とおっしゃっていました。学校が入学式を大事な始まりと思っていてくれることがとてもありがたかったです。がんばって受験勉強をして、やっと合格して、親子ともども、やっとその「はじまり」を味わうことができた、そんな素晴らしい入学式でした。