全国制覇への野望 <三度の奇跡>

「こゆるぎ杯より県南大会」
毎年三月に神奈川県にて開催される「こゆるぎ杯大会」は、関東大会よりも優勝するのがむずかしいと云われている。出場チームは、関東勢に加え他県の強豪チームが優勝を狙い挑んでくる。我茗溪チームは県内の県南地区予選大会にても優勝経験がなく、各選手の父兄としても練習試合の延長戦上くらいにとらえていて誰一人として入賞の期待はしていなかった。たぶん母親は早く帰ってきて体を休め勉強してくれたら良いのにと思っていたように感じる。夜遅く帰宅後優勝の喜びと大会規模を聞いて奮きと共に運の強いチーム、1回目の奇跡が起こった。この大会を機に各選手とも、自分の技に自身を持ち、チームワークの芽生えがあったように思われる。尚剣道月刊誌より抜粋してみる。
第12回こゆるぎ杯・袖ヶ浦杯争奪剣道大会
今回は北は青森県から南は鳥取県まで、大会最多の男子210チームが参加、1回戦より白熱した戦いが繰り広げられた。
準決勝第1試合は茗溪中と壬生中(栃木)の対戦。先鋒から中堅まで決定打なく引き分けが続き、重苦しい試合展開となる。副将戦で茗溪中の柳町がメンを連取しようやく試合が動く。リードされた壬生中の大将早乙女が懸命に茗溪中鈴木を追うも捕らえることができず、茗溪中の決勝進出が決定した。
決勝戦、男子の試合らしく、キビキビと動きのよい技の応酬となった。1-1で迎えた中盤戦で、茗溪中亀ヶ谷が中盤に放ったコテメンが決まる。後がない明光中・大久保の焦りに乗じて茗溪中の柳町が思い切りの良いメンを連取・大将戦を待たずに初優勝が決定した。

この勢いをもって県大会の地区予選が始まった。つくば市大会は優勝にて通過し、県南大会となった。準々決勝は、取手一中、準決勝は長山中に勝ち決勝進出となった。対戦相手は二連覇中の竹来中、なんとか現チームにて県南優勝を果たしたが残念ながら涙をのむ結果に終わった。しかし県大会においてはシード校となれるので、道は開けたと思われた。
念願の関東大会!!県大会にて六位入賞すれば出場が出来る。なんとかして六位への強い気持ちを持って試合に臨んだ。
準決勝のベスト4迄駒を進めることが出来たら万万歳だが当日仕事にて応援は家族に任せた為、対戦が終わると連絡が入ってきた。
3回戦にて世矢中に勝って、次の準々決勝にて勝利すれば、関東大会への切符を手中にすることが出来るのだが対戦相手は強豪の明光中とのことで、応援の父兄たちの心配が電話を通して臨場感とともに伝わってきた。
3-2にて勝ったとの連絡は安堵感があり、次の対戦についてはベストを尽くしてくれれば負けても仕方がないとの応援体制だった。
準決勝戦対水海道西中に3-1にて勝ったが選手たちは明光中戦にて勝利した時にこゆるぎ杯の優勝経験が自信となり『負けない!!』という気力、胆力が出てきたのではないかと思われる。高校野球の甲子園にて、無銘チームが一戦一戦強くなってゆく光景と重なってくる。決勝戦は、県南大会の決勝の再現となり宿敵の竹来中との戦いとなった。試合は一進一退にもつれ副将戦にて2-2となりなおかつ茗溪中は大将戦にて勝たねばならず引き分けにては、チーム点数にて竹来中の優勝という苦しい戦いに追い込まれてしまった。竹来中大将近藤選手は、県内にて個人の優勝候補の選手で、応援団は、手に汗をにぎって声をからして応援をした。大将戦はお互いに得意技にて攻め合ったが有効打突が無く3分が経過した。この時竹来中の応援団が歓声をあげたがルールにて延長戦となった。近藤選手が乱戦の中より小手に出た所を茗溪中鈴木選手がコテメンに乗り一本勝ちにて、優勝が決まった。
応援団よりの警喜の歓声が場内をゆるがした。関東大会出場が決まりその上県大会優勝という二重の喜びに沸きあがっていた応援団に顧問の先生よりこの大会は全国大会への県予選を兼ねているので、全国大会出場が決定したと聞かされて、全員絶叫となった。
顧問の先生もまさか優勝するとは思っていなかったとみえて、説明はしなかったとのこと。選手たちも全国大会については意識がなく、無欲の勝利となった。2回目の奇跡が起こった!!

県大会、新聞より抜粋

2回戦: 茗溪学園 4-1 東茨城北
3回戦: 茗溪学園 4-1 世矢中
準々決勝:茗溪学園 3-2 明光中
準決勝: 茗溪学園 3-1 水海道西中

決勝

茗溪学園 3-2 竹来中
磯野   -コ  布施○
○藤井  メ-   江原
○亀ヶ谷 コ-   岩崎
柳町   -メメ 村木○
○鈴木  メ-   近藤