茗溪図書館 図書館司書インタビュー

生徒・先生方にとって毎日の学校生活に欠かせない存在である茗溪学園の図書館について他の学校で司書をしている父母の方が茗溪学園図書館の司書の先生にインタビューを行い、その魅力について探る寄稿をいただきました。

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中2(43K)古市未央

読書の秋まっさかりの2019年11月22日、茗溪学園の学校図書館(以下、「茗溪図書館」)についてもっと知りたい!ということで、中2のホームページ委員2名で図書館に伺いました。今回の取材を通して、あらためて様々な茗溪学園の魅力に気がつくことができたので皆さんにお伝えしたいと思います。

 

いざ茗溪図書館へ

時刻は午後2時近く。 この日がテスト最終日だったということもあり、 お昼休みも終わりそろそろ部活が始まるかなという時間帯、生徒たちはあまり来ていないのではないかと予想して待ち合わせ場所の図書館前のロビーへ行くと、既に4、5名の生徒が図書館前の雑誌・新聞コーナーに集まって談笑していた。(その様子からおそらく常連さんだろうと思われた)

図書館前にはくつろぎながら閲覧できるカウンターテーブル、広々とした丸テーブルと椅子があり、雑誌前にはたまり場になりそうなベンチや荷物置き場があった。壁いっぱいの雑誌はざっと40種類くらい、新聞は全部で14紙、その日の一面がスケートの羽生選手だったからかスポーツ新聞はかなり読まれた形跡があった。

また、図書館前のガラスケースには「新着図書」コーナーがあり、その手前に置いてある手作りボードには部活動の記録や新聞のスクラップなどからなる「茗溪関連の記事」、「部活の結果報告」コーナーがあり、足を止める工夫があちこちになされていて、仮に図書館内に入らなくても茗溪の近況が楽しめる場所になっているなと感じた。

 

司書室へ

ほどなくして図書館司書の三島先生にお会いして館内に入り、右手奥にある司書室へ案内していただくと、館長の福永先生、非常勤の野田先生が笑顔で迎えてくださった。

まず図書館のスタッフについて伺う。現在茗溪図書館には、専任の司書2名のほか非常勤の司書がおり、春と夏はアルバイトの学生など数名のスタッフと共に蔵書点検を行なっているとのこと。福永先生は勤続30年以上のベテランで学園建学と共に歩まれたそうだ。三島先生は勤務9年目、この図書館で東日本大震災も経験され経験豊富な方で話が尽きなかった。

担任の先生から少し噂に聞いていた、司書の先生方が書かれた読書記録ノートも拝見することができ、その内容に引き込まれた私は、「私もこの本をお借りしたいです」と言いそうになった。

 

図書館の蔵書について

現在の蔵書は、ざっくり開架7万冊、閉架1万冊(体育館1階の一室が書庫)で、その他教科室などに必要に応じて様々な専門書が配置されているとのこと。

館内を案内していただくと、中央部に個人課題研究のための資料や多言語の資料がわかりやすく配置されていて、入ってすぐ右手には手軽に手に取って読めるよう、ベンチが置かれたスペースに絵本や児童書のコーナーが壁いっぱいに展開されており、研修旅行に関する資料を別置するなど、限られたスペースで書架を非常に工夫している印象を受けた。

また新しい本は毎年約2000冊も購入しており、驚くべきことに生徒や先生からのリクエストには、一部例外はあるがほぼ100%応えているとのことだった。

中高生が在籍し幅広い年齢の学生がいる茗溪図書館だが、基本的に小学校高学年から大学0年生までの本をまんべんなく入れるようにしており、選書に関する悩みや迷いはほとんどないとのこと。蔵書については「ある?」と聞かれたときに「あるよ」といつも言いたい、と話されていたことが大変印象的だった。

 

図書委員について

今回私たちの滞在は2時間弱と短かったが、テスト終了直後だというのに、館内には生徒たちの姿が絶えることがなく、学年や性別にかかわらず常に生徒が滞在していた。一人で来る生徒もいれば、部活着のまま友達と来ている生徒もいた。友達と顔を寄せ合って楽しそうに一緒の本を読んでいる姿もあった。来ている生徒にとってリラックスできる場所になっているのだろうと感じた。

これはさぞ、普段から司書の先生方が様々な工夫をされているのだろうな、と思ったが、掲示物や館内の設備は最小限で無駄がないシンプルなもので派手さはない。図書館の魅力をどのようにして生み出しているのだろうと思いながら館内を見渡すと、手作りの本の紹介POPが目に留まった。お話を伺うと、ほぼ全て図書委員の生徒が作ったものとのこと。

図書館にたくさん来てもらうためには、先生方のお力だけでは足りないのだろう。そこで、図書委員について伺ったところ、現在図書委員は各クラス2名(IBクラスは1名)全員で約75名が活動しているとのことだった。さらにその仕事内容を詳しく伺ったところ、2か月に1回書架整理を行なう他、基本的には週1回、それぞれの係に分かれて活動しているそうだ。係は6つあり、カウンター、配架、督促、装備、展示企画、処理、と多岐にわたっている。それらの係名が司書の先生の口からよどみなく出てきて、図書委員とのつながりの深さを感じさせられた。

 

先生方のおもい

次に司書が常駐しているメリットについて先生方に伺ったところ、第一に学習面、生活面を支える場を常駐することで常に提供できると同時に、教室や部活を離れて関わってくれる大人がいつ来てもいることが大切だと思っていると話されていた。担任や教科担当と関係なく、6年間1人1人の成長をみることができることに喜びを感じているという先生方の姿勢やおもいに心を打たれた。

 

また、茗渓学園図書館は情報教育部に所属しており、各教科と連携して図書館運営を行っているそうで、「新入生オリエンテーションや、個人課題研究、授業等で利用するため、どんなに本を読まない生徒も在学中、必ず何回かは図書館に来ているのですよ」とのことだった。茗渓図書館は、本を読まなくても宿題で困ったときなど気軽に足を運べる場所だとぜひ子どもにも伝えたいと思った。

 

取材後記

断言はできないが、公立学校の図書室で活動をしている私が知る限り中学校や高等学校で、司書がここまでプロフェッショナルで、蔵書が充実している学校図書館は少ないと思う。

他の学校と比べると、館内のスペースや書庫の広さなどハード面に関しては、必ずしも恵まれているとはいえない中、このような落ちついた空間が作られているのは、ひとえに先生方の生徒への「愛」の賜物だろう。終始、先生方のプロ意識の高さに驚かされ続けた取材は和やかであたたかった。こんな素敵な先生のいる図書館に通える生徒たちは幸せだなぁと感じた。またゆっくり訪れてみたいと思う。