中学サッカー部県大会出場! 顧問:山下先生インタビュー

中学サッカー部がこのほど県大会に出場しました。そこで、中学サッカー部の顧問である山下太郎先生にインタビューさせていただきました。(2020年1月)

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中3(43K) 吾孫子 由美子、柳瀬 美和、高1(42K)+高3(40K)  田中 新

 

  • まずは中学サッカー部について教えてください。

現在中1が22人、中2が11人の33人います。中3は16人いますが、7月の大会で引退し、高校サッカー部に合流しています。練習は基本的に月曜日が休みで、日曜日に試合をすることが多いです。

 

  • 練習試合も含めた試合はどのような相手と行うことが多いですか?

できるだけいろいろなチームと試合をするようにしています。特に、強い相手と試合することが多いです。

中学サッカーは中体連がありまして、つくば市→県南→県大会と進んでいきますが、 県南大会レベルのチームと試合をすることが多いです。また県南大会で勝ち進むような強豪はある程度決まったところになっていくので、顧問同士で連絡を取りあって試合を組むことが多いです。チーム数はつくば市だけでも18チーム、県南地域では70校程あります。県大会にはその70校の代表が出場することになります。

今回県大会に出ることになり、古河や結城からも茗溪学園に試合をするために来てくれるようになりました。他のチームも強いチームと試合をしたいので遠くの学校も含めて電話がかかってくることが多くなりました。

 

 

  • 何か特別な練習をしたのですか?

いいえ。実はもう一つ勝てば県大会というのが4~5年ほど続いていました。県南大会のベスト8進出という大会が多かったです。

思うに、先輩から経験や技術、練習で大切なことなどが脈々と伝えられてきて、集大成が今回の県大会出場なのではないかと思います。サッカー部の血が受け継がれ、やってきたことが活きてきたのだと思います。

例えば、1対1の練習をしたとして、相手が上手でないと自分も上手になりません。そうやってお互い切磋琢磨して、お互いどんどん上手になっていくことでチーム全体が伸びてきたように思います。

 

  • ではどうやって生徒たちの力を引き出したのでしょう?

私がいつも気にかけていることを考えてみると3つ大切なことがあると思います。

  1. まずは環境です。安全で、力を伸ばせるような環境を整えていくことですね。自分たちにとって今力を伸ばすにはどの相手と練習試合をするのが良いのか考え、適切な相手と適切なタイミングで試合を組むこと、ボールが見えない中では危険ですから、ナイター照明を設置して頂いたことなどです。
  2. 2つ目は、サッカーだけを教えないようにしています。特に中学生の頃は、サッカーだけのことを考えるだけではサッカーがうまくならないように思います。心の力と言うのでしょうか、試合中苦しいときにいかに耐えるか、チームワークが大切な場面でチームワークをいかに活かしていくか、丁寧な行動が必要な場面では丁寧な行動をすることなど、です。そもそも、部活をやる意味はサッカーが強くなることだけではなく、さまざまなことを経験したり、考えたりする良い機会だととらえています。逆にそれがサッカーに通じることもあり、例えば掃除を丁寧にやろう、と思うことがパスを丁寧に通してやろうと思う心に通じることもあります。
  3. 3つ目は頭の力、ですね。どうすればさらなる高みにいけるか、自分たちが勝ちたいと思ったときにどうすれば良いのかを考えるように促しています。

 

今しかできない中学生や高校生の部活動のサッカーを通して、コミュニケーションの取り方、チームワーク、どのように努力するのか、など学べることがたくさんあります。将来自分らしく生きていくために、部活という環境を活かして、良いことも・きついことも含め多くの経験をしてもらいたいと思っています。そして、それを卒業後に活かしてもらいたいと思います。長期休暇中などによくOBから酒席に誘われますが、成長したOBに会うと、卒業後も様々なことを学び、様々な力をつけている卒業生が多いなと感じます。非常にうれしいことです。

サッカーだけが大事なのではなく、彼らの頭・心・体の力を伸ばしていくのが大事で、それが卒業後にも彼ららしく生きていくために必要なことだと思います。

一つの例としてですが、現在、筑波大学の蹴球部には、1年生から4年生まで茗溪学園サッカー部出身の卒業生がいて、その中には茗渓学園にコーチとして来てくれている卒業生もいるのですが、そのことが自分の目指していることの一つの結果であり、達成されつつあるのではないかと思えてとてもうれしいです。サッカーだけではなく、勉強も頑張っている選手たちがいるということです。そして、そのような卒業生たちのことを筑波大学蹴球部監督も把握してくれているのはうれしいことですね。

  • コーチは筑波大学の蹴球部から来てくれているのですね?

はい。とてもありがたいです。コーチは通常は4年生や院生が来てくださるのですが、コーチ不足など苦しいようであればいつでも言ってくれれば何とかする、と筑波大蹴球部監督も言ってくれています。心強いです。

 

  • ポジション争いなど部内での切磋琢磨はやはりあるんですよね。

はい、もちろんです。33人全員大事なので一部だけが力を伸ばすのではなく、全員にできるだけチャンスをあげたいと考えています。争いをしていく中で、できるだけみんなにチャンスをあげられるように考えます。それがチームのレベルアップにもつながります。

 

  • 何か今までで苦労したことはありますか?

16-17年やっているのでいろいろ思い出されるのですが、最初の頃はグラウンドがなかったんです。テニスコート前の雑草の生えた狭いところしかなかったです。時期によっては夕方でも真っ暗でしたし、藪にボールが入ってしまうこともありました。卒業生からは、今の選手たちは恵まれていますね、と言われますが、それを今の生徒に話しても理解はできないですね。

照明が初めて付けられて、点灯した瞬間の美しさは言葉にならなかったです。「おぉ美しい!」と感じました。それまでは冬には16時半前にはボールが見えなくなる状態でした。それ以降、ボールを使うと怪我の元でした。この照明は2年前に父母、卒業生、卒業生の父母からの寄付があって取り付けることができました。本当に感謝しています。このような応援が、力になり、今回の結果につながったことを実感しています。

ぜひ、父母の方にもナイター照明が点く時間に見に来ていただきたいです。ほんとに美しいです。

 

  • やはり生徒同士の上下関係もあるんですよね?

見ていますとその学年の選手たちの性格によりますね。学年内では仲良く、よくまとまっていますね。

  • 先生から見ても学年間でうまくいく・いかないはわかるものですか?

勝利を目指す時にはみんなが同じ目標を持つので、基本は協力できるのですが時折主張が強すぎる人と強すぎる人の衝突というのはあります。悪いことではないのですが主張が強すぎると相いれないことはあります。ただ強いチームはもっと激しいですね。茗溪学園はかなり平和な方です。

 

  • サッカー部が県大会に出たことに対して、学校全体の反応はありましたか?

全くありません。大事なことは試合に勝つことだけではありませんし、まだまだ祝福されるようなものではありません。それに、勝負は勝つこともあれば負けることもあります。さまざまな経験をしていくことで自分たちが成長していければ良いのです。

 

  • 最初のお話では休日に試合が多いですよね? 小さい娘さんもいらっしゃいますし、ご家族から文句は出ませんか?

いま本当に可愛い盛りの幼稚園年中の娘がいるのですが、冬休みは休みをとらせていただいたりして、毎日たのしく遊んでいました。令和の世としては休まないといけない場面もあるのかもしれませんが、こうやって私に娘がいることを知っていただいて、休みのことまで気にかけていただけるだけでも大変ありがたいです。

 

  • 茗溪はラグビー部が目立っていますが、そこのところはどう思っていますか?

サッカーの競技人口2億5千万人、バスケットボールに次いで世界では第2位と言われています。選手たちが世界に出て行ったときに、サッカーを通して友人を作ったりするチャンスは多いと思います。また、生涯スポーツとしても注目されています。結構年配の方々でもサッカーを続けている人たちが増えています。つまり、茗溪学園は男子においてはラグビーが校技ですから、当然注目されますが、卒業後の広い世界ではサッカーをやっていて良かったと思えることもあると思います。

いろいろな学校でそうであるようにサッカーを花形にさせようと思えば、なれないわけではないと思いますが、相当な覚悟が必要です。勉強など他のことを一切切り捨て、いろいろな犠牲を払います。茗溪学園はそのようなところではないと思います。

 

  • 親のサポートはどんなところに期待していますか?

基本は、生徒たちが自分たちでやっていくことで伸びていくことを期待しているのですが、とてもありがたいことに今でも父母会でバス代やドリンク代をご負担していただいたり、何より試合を見にきていただけるのがありがたいです。

第2グラウンドに来ていろんな人に見てもらうと、選手たちも向上していくところはあるので、ぜひ父母の方にも応援に来てほしいです。

子供からすると親が試合を見に来るのを恥ずかしがりますが、親からすると試合を見られるのは中高までですので、お子さんに何を言われてもたくさん来ていただければなと思います。

 

  • 今後さらによくしていくためにはどうすればいいでしょう?

勉強とサッカーの両方を一生懸命に取り組み、例えば筑波大学などの大学に入ってくれればいいなと思います。チーム全体にもっともっと学習にもサッカーにも必死に取り組む雰囲気ができると、もっといろいろなものが見えてくると思います。

合宿でも全員で教科の学習会をやりますが、始めるときにさっと勉強に集中できる人は、グラウンドでも同じです。それがそのまま結果として出てきます。みんなでもっと勉強もしてもらえればいいなと思っています。

サッカー部OBには医師多数、司法試験合格3~4名、東大進学者数名、NHK連続テレビ小説「エール」出演者など、いろいろな人がいます。どんな方向に行っても活躍できる力をつけてもらうのが一番だと思っています。本当に尊敬する卒業生はたくさんいます。後輩たちにも続いてもらいたいと思います。

 

今日は長い時間どうもありがとうございました。