数学科:鈴木誠先生 

<<現在は非常勤講師として勤務されています>>

今回は数学科の鈴木誠先生です。
2008年3月1日(土)茗溪学園会議室にてインタビューに答えていただきました。
父母会HP編集委員会 塚田(28K)、内田(28K)、齊藤(28K)、小川(28K)、吉田(直)(29K)、長命(29K)、森田(29K)
―ご出身はどちらですか?
昭和39年真壁町(2005年近隣の町村と合併し、現在は桜川市)で生まれ、地元の小学校、中学校を卒業しました。高校は茨城県立下館第一高等学校で、大学(昭和58年入学)、大学院は筑波大学です。学生の頃は「月に1回は東京に出よう」という会があり、刺激を受けに東京へ出かけて行ったのを覚えています。つくばも大きく変わりましたね。生まれも育ちも茨城県です。つくばに住んで20年になります。


大学在学中は茗溪学園の存在を知りませんでした。大学院2年生の時、茗溪学園に勤務されていた研究室の先輩(数学科の島先生)から「ちょっと、見に来ないか」と誘っていただき、見学に行きました。その翌日、校長先生から「昨日は、来てくださりどうもありがとうございました」と直々にお電話をいただきました。もしかして私は期待されているのではという有難い気持ちになり、就職を決めました。後で知った事ですが、校長先生は見学に来られた皆さんに電話をなさっていたということでした。
―茗溪学園との出会いは?
赴任してみると、茗溪学園の理念は私の予備知識以上のものでした。単なる進学校とは違っていました。「進路指導」と、「人間性育成」のどちらも重視し、様々な教育方法を双方に上手に織り交ぜているカリキュラムであることに驚きました。キャンプ、合唱、英語劇、短期入寮、臨海訓練、研修旅行、個人課題研究‥‥色々なことをやるんだなぁと感心しました。
自分自身の中学校生活を振り返って考えてみると、茗溪学園には私がイメージしていた「先生と生徒の関係」に異なるものがありました。出来る限り生徒と向き合いながら、なぜなのかを納得するまで話し合い、お互いに理解を深めてゆくのです。これは、生徒自身もそれを要求しているところがあるのです。この「先生と生徒の関係」に新鮮なものを感じつつ、『これは大変な学校に入っちゃったなぁ』という印象も持ちました。
―先生になろうと思ったきっかけは?
高校3年生くらいから漠然と思っていたのかもしれません。自分の進路を明確に決めたのは大学4年生の時です。教育実習を経験したことにより、大学院に進みさらに学んでから教員になろうと強く決心しました。でも、僕が茗溪生だったら、教員になっていなかったかもしれません。なぜなら僕が高校生のとき、身近で働いている大人として意識していたのは、自分の親と学校の先生くらいですからね。茗溪生のようにもっと幅広く職業を知るチャンスが与えられていたら、僕の中にある違う面をみつけることができたのではと思います。
茗溪学園の生徒は職業観を育む職業観セミナーや、自分の進路についていろいろ考えたりすることができる恵まれた環境にあります。それらのプログラムに応えてくれる子どもたちがいるというのが大きいですね。生徒たちの世界が広がって輝いた顔が見られた時、教師としてとても嬉しいです。
―茗溪学園の数学科の方針

<この先になっても使うであろう基本的な『計算力』は、何回もテストをして身につけていきます。また、例題で説明を受けてからそれと同様な問題を解くばかりではなく、まだ説明不足の事柄を含んだ問題や、工夫しなければ解けない他の分野と絡んだ問題に「さあ、やってみよう!」と取り組んでみます。そして、様々な解き方を通して『考える力』をつけていきます。それらを通して、わかること・解けることの嬉しさを伝えられればよいのではないかと思っています。
授業の中では、そのような問題に試行錯誤しながら「考える」ことが重要なのであって、全員が正解することを求めているわけではないのです。答え合わせのときに、ここまでは考えついたが、あと一歩足りなかったところについて、なるほどと気がついてくれればよいのです。それを次に活かせるよう頭の中を整理してくれれば。ただ、生徒の中に正解でなかったことに対してひどく落ち込むような子が増えているような気がしているので、問題の難易度の加減を、慎重に設定する必要があると思います。問題が簡単すぎてもいけないし、解けなくて苦しい思いをさせすぎてもいけないです。
―毎日数学浸けの生活、お辛くないですか?
もともと、僕は数学が好きだから教師になったのです。「数学って、やってみると面白いじゃん」みたいなものを生徒たちに伝えたいです。5年生(高校2年生)になると、選ぶ進路によって数学から遠ざかる生徒がいます。そのような生徒たちには、「今日まで使った教科書は処分してもかまいません。でも、君たちが大人になった時、自分の本棚に数学の本が1冊あると部屋の雰囲気が引き締まりますよ。その気になった時は、いつでも『良い本』を紹介します。」と言っています。
―オーストラリアの研修旅行
28回生より研修旅行先がイギリスからオーストラリアに変わりました。初めてずくめでしたので、何が起こっても不思議ではないと腹をくくっていました。しかし、研修旅行は実に順調でした。旅行社もしっかり準備して下さったし、先生方の下準備も良かったのかもしれません。でも、なによりも生徒がしっかりしてくれていたから成功したのだと思っています。茗溪学園には「打てば響く」、期待に応えてくれる生徒たちがいるのです。
―現在の楽しみは?
1歳5ヶ月になった息子と遊ぶことです。生まれたばかりの頃は、初めての子育てで、意志の疎通が出来ないので戸惑いました。成長するにともなって、にこにこ笑ったり表情が豊かになると可愛いものですね。最近では帰宅すると、玄関まで出てきて僕に飛びついてきます。本当に可愛いです。
―ご趣味をきかせてください。
読書です。読書好きになった動機は、高校時代にさかのぼりますが、苦手な国語の克服でした。本格的に読むようになったのは、大学に入ってからです。ジャンルは問わず何でも読みます。数学の本も読みますし、小説も幅広く読みます。茗溪の読書好きの先生と情報交換をしています。最近では、社会科の柚木先生に紹介された『生物と無生物のあいだ』(福岡伸一著)を読みました。本を紹介するテレビ番組も情報源です。番組中、ジャンルの違うまったく接点がなさそうな3人のゲストが、1冊の本を通して楽しそうに会話を成立させているのです。本の力というものは面白いですね。
間もなく春休みになりますが、休みに入ったら何を読もうか今から考えているところです。
―本当に読書がお好きなのですね。
僕は1日8時間睡眠をとると体調がベストなのです。でも6時間睡眠の人と比べると、計算上、自分自身の時間を1日2時間損していることになります。
今のペースで月3冊読むとして、あと30年生きられるとすると約1000冊の本を読むことができます。1000冊しか読めないのだから、6時間睡眠の人より持ち時間が少ない中、読む本は上手にチョイスしないともったいないことになるぞと思っています。
―先生とスポーツ
中学時代は野球部と駅伝部に所属していました。1キロメートルを3分、3キロメートルは10分で走りました。現在、茗溪学園軟式野球部(第52回全国軟式野球大会ベスト8、第62回わか杉国体初出場初優勝)の顧問をしています。試合の引率をするのですが、必死に挑んでいる生徒たちの姿を見ていると、彼らから元気をもらえます。授業中の顔とは全然違う側面をみせてもらえるのもいいですね。引率というよりも、子どもたちに連れて行ってもらっている感じです。有難いです。
―茗溪学園の父母や父母活動に対して
ご父母の皆さんの協力に支えられて茗溪の教育はうまくいっているのではないかと思っています。例えば、1年生の里見キャンプ、2年生の筑波山キャンプなどは、ご父母の協力なしでは成り立たないと思っています。5年生(高校2年生)の短期入寮(例年2月上旬、5泊6日の寮生活)では、早朝の「突寒ラグビー(男子)」、「剣道の寒稽古(女子)」でお世話になった大学生に、ご父母が炊き出しをしてふるまってくださいました。その活動の様子などを拝見していますと、きっと、ご父母の方々も楽しんでボランティアをされているのではないかと思いました。そんなところがとてもよいのではないかと思います。
―お忙しい中、楽しいお話を聞かせていただきましてありがとうございました。