寮父母会会長 金子 豊

「集団生活の中で社会性を身につけてほしい」「自分の責任で考えて行動できる英知を身につけてほしい」とは、寮生父母共通の想いである。 一方、「寮は恐ろしく暇なところ」とは、かつて寮父母会主催のシンポジウムでパネリストに迎えた寮生OBのA君の言葉である。寮にはテレビもなければゲ―ムもない。通学に費やす移動時間も必要ない。放課後にすることが食事と入浴だけとしたなら、確かに、恐ろしく何もやることがない。ただし、このことが父母の想いを具現化するための大切な要素なのである。
学校に隣接する環境にあって、放課後の時間を最大限に確保できることは、学寮の大きな利点のひとつである。そして、その利点を子供たちに気づかせて、時間を有効活用する術を育んでくれるのが寮生活である。小学校をでたばかりの子供達が、学寮のメリットを本当に認知できるようになるのは数年の後。もちろん時には日常のトラブルが表面化することもある。そんな彼ら彼女らが、卒寮時には、みんな見違えるように逞しくなり、実力を携えて学寮を巣立って行くのである。