高1向け父母によるセミナー ~茗溪生と共に学んだ職業観セミナー~

高1を対象に、高1の父母による「職業観セミナー」が行われました。生徒が将来の職業を考えるきっかけとなるように、身近な同級生の父母が自身の職業について講義を行います。学校がボランティアとして講師を担当する父母を募集し医師、弁護士、IT企業経営者、マスコミ、メーカー、パイロット等々幅広い分野で活躍する父母が職業について話しました。講師をしていただいた3人の父母の方にご寄稿いただきました。

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冨山 正美(高校教員)

 

私は教育分野で高校教員として講義を担当しました。お話をいただいたときは、さまざまな特色ある活動でお世話になっている茗溪学園の先生方ではなく、自分が語ってよいのかと恐縮しましたが、「公立高校教員の立場からの話」でよいとのことでしたので、少しでもお役に立てれば、とお引き受けしました。

 

全体会場である1AVEに入ると、好奇心に満ちて目がきらきらした高校1年生の顔であふれていました。講師の父母の方々のご職業も、おそらく茗溪学園ならではの豊富なラインアップで、このようなセミナーを受けられるとは、自分の子も含め、幸せな子どもたちだなぁ、と感動しました。

 

さて、私の分科会では前後半で18名の生徒の皆さんと楽しい時間を共有することができました。すでに高校教員を志望している生徒もおり、大変うれしく思いました。

 

講義の準備をするにあたって、さまざまな先生方から授業を受けている生徒の皆さんが教員の仕事に関して、「普段考えないことは何か」と同時に「午後一番の時間帯に眠くならない方法は何か」を考えました。最初にクイズ形式で茨城県の高校の全体像や、高校教員の具体的な仕事を知るワークを行い、次に個人的に教師を目指した理由、やり甲斐、思い出に残る恩師や生徒たち、生徒の皆さんへのメッセージなどをお伝えすることにしました。残念なことに、前半部分で時間を使い過ぎてしまったため、後半では急ぎ足になり、学校の未来、今後求められる教師像などについて議論する時間がなくなり申し訳なかったと思っています。

 

 

以下はお話ししたこと、および議論したかった内容の一部です。

・私が考える高校教員の仕事の大枠は、教員それぞれの専門性や特技・特性を生かしたチームワークで、「幸せな人作り→地域作り→国作り→世界作りをする」、ということです。

・やり甲斐は、生徒の笑顔や成長を見られること、喜びや悲しみを生徒たちや先生達と共有できること、教育を通して社会とつながり、貢献できている実感があることです。

・お伝えしたメッセージは「出会いを大切に。」「感謝の気持ちはすぐ伝えよう。」「今、チャレンジしよう。」

・将来については、学校のあり方や個人の学び方は多様になると予測されます。これからの教員は、生徒や世界の多様性に対応出来る知識や技術を持ち、それを時代に合わせてバージョンアップしていく力が必要となるようです。同時に、目の前の生徒たちが、それぞれの個性で、予測できない未来を生き抜くにはどんな力をつければいいか、考えながら向き合っていくことが不可欠でしょう。

(今回講義の内容を考えながら、茗溪学園の試みは、まさに予測不能な未来を生き抜く力を付けているのでは!と感じました。頑張れ、41回生!)

 

最後に、セミナーを一生懸命聞いてくれた生徒たち、数カ月も前からご準備くださった先生方に感謝いたします。今回講師をさせていただいたことは、自分の職業観を見直す学びの機会、初心に返る意味深い経験となりました。

最後に生徒からの感想の一部をご紹介します。

「高校教師はとても大変なことが分かったので、中学も担当する茗溪の先生はとてもすごいと改めて思いました。親が教師であることから先生にはなりたくないって思っていた人もいましたが、今回の講座で興味がわいたという人もいました。」

その通り!とうなずきながら、また、ほっとしながら読ませていただきました。ありがとうございます。

 

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植村 剛(獣医師)

 

第1AVEに4年生が集合したのち、講師の方々が入室して生徒たちと対面いたしました。

外で待機していたときは、皆ガヤガヤとしており、入室時は、その声の大きさも一段と大きくなり、おそらくは、各講師の方々を興味深く観察しているのであろう雰囲気での第一印象でした。ただそれも先生のお話が始まった途端、まじめなしっかりとした面持ちとなり、各講師の個性あふれる自己紹介が始まると、しっかりと反応を返す、集中の中にも興味をしっかり持って楽しむ様子が感じ取られ、41Kのキャラクターを垣間見た気がし、非常に心強く感じました。

 

その後、各分教室に分かれ、セミナーの開始となりました。

まず、私の学生生活の様子をお話しし、国家試験合格を目指すためのちょっと特殊な学生生活環境を紹介しました。

そして本題。私の職業である獣医師は、その職域は多岐にわたっており、畜産、公衆衛生、製薬等、臨床獣医師ではない職種も多数存在しています。それらの職種を紹介しながら、実際に今起こっている畜産業界を揺るがす事態も紹介し、農水省が推進している獣医師確保の問題、これからの獣医業界の展望などもお伝えしました。また、当院で診察した症例を紹介し、それぞれでその症例の飼い主の立場に立っていただき、一緒に実際の治療プランを考えることをしました。そして、その中で勉強する意義や、仕事に向きあう姿勢、またその楽しさや苦しさがお伝えできればと思い、講演させていただきました。

 

後日いただいた生徒からの感想は、詰め込みすぎかと思ったセミナーの内容をしっかりと聞いて理解し、こちらの意図することをしっかり理解してくださっており、大変うれしい内容のものでした。

 

私にとって職業観セミナーの参加は2回目で、前回と今回の学年間のキャラクターの違いなども感じることができ、とても楽しい時間を過ごすことができました。また、獣医師の仕事の社会的意味なども改めて振り返る良い機会でした。余談ですが、この話をこの症例の飼い主様にしたところ、「高校生の将来に役立ってもらえてうれしい。」と大いに喜んでいらっしゃいました。

最後に生徒の皆さまの未来が幸多く、夢にあふれるものになることを祈念しております。

 

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佐門典子(保育士)

 

9月7日、4年生(高1)を対象とした「職業観セミナー」が行われました。

生徒たちが自分の将来の職業について考える一助となるよう、ボランティアとして講師を担当する父母を募集すると聞いたとき、「自分にも何かお手伝いできることがあれば」と、とても軽い気持ちで引き受けました。セミナーの準備を始めるとすぐに、「すごいことを引き受けてしまった」と後悔しました。私が講師を引き受けた1番の理由は、私自身が今もなお悩んだり迷ったり感動したりしながら仕事をしている大人だからです。「大人も一緒なんだよ」「大人だから何でもできるわけではなくて、大事なのは夢に向かって自分の仕事を今を大切にすることだよ」ということが少しでも伝えられたらと思ったからです。

行事のたびに茗溪学園愛が深まる私でしたが、職業観セミナーもまさにそうでした。

「職業観セミナーは、子どもたちの先にある未来像が少し身近に感じられるよう『仕事』ってこんな感じですとそのままを伝えてあげてください」という先生方の言葉に救われ、「どんな人間となってどう生きるかの模索をする」という学校の考えに感銘を受けました。

 

 

職業観セミナーを通じて学ばせていただいたのは私自身でした。

セミナー当日、緊張しながら挨拶をする為に大教室に案内され、迎えてくれたのは子どもたちのキラキラ輝くきれいな瞳でした。本当になんてすてきな学校なんだろうと思いました。

私の仕事は保育士です。話を聞きに来てくれた生徒たちは、「子供が好きだから」、「まだよく分からないけれど何となく興味があって人に携わる仕事がしたい」などと、具体的な夢は決まっていませんでしたが、どの子も真剣に一生懸命話を聞いてくれました。グループの中に男の子がいてくれたことも、とてもうれしかったです。私は高校生のときに“なりたい”と思った保育士になり、今も働いています。高校生のとき“保育士が夢”になった話から、“今”に至るまでの話をしました。生徒たちは、メモを取ったり、うなずいたりしながら、温かくそして真っすぐ話を聞いてくれました。そして、いくつかの質問もしてくれました。

後日、学校からいただいた報告書を見たとき、「こんなふうに受け止めてくれたんだ」と感動しました。また有難い感想をいただき、私の宝物になりました。

この子たちなら、どんな仕事にでも就けどんな所でも輝いていられると、子どもたちの未来がとても楽しみになりました。